インドの投資環境
インドの投資環境
インド経済はここ5年連続して6~9%台のGDP成長率を誇っており、購買力平価の面では世界で4番目に成長が早い経済である。外国直接投資額は2008年度の27百万USドルをピークに減少傾向にあるものの(インド商工省の産業政策推進局データ)、2010年のA.T.カーニーの外国直接投資指数では、依然として世界で3番目に投資したい国にランキングされている(The 2010 A.T.Kearney FDI Confidence Index)。

在インド日本国大使館が発表している「インド進出日系企業リスト」によると、2010年10月には725社の日系企業がインドに進出している。昨今、日系企業の投資先としても魅力的としてとりあげられ始めたインド市場であるが、投資する上でのメリットとデメリットを以下のようなものが考えられる。
メリット
① 労働力の確保
総務省統計局のデータによるとインドの人口は12億人と世界第2位であり、その半数は24歳以下である。一人っ子政策による人口の減少が懸念される中国と異なり、インドは出生率も高く2030年には人口が14億人と世界第1位になることが予想されている。

このため現地でも十分に訓練を受けた労働力を安価かつ安定的に得やすいと言える。また公用語が英語であるため、現地雇用者の人材育成も比較的行いやすい。
② 需要の確保
インド人口12億人のうち中産階級の人口が4億人を占めていると言われている。中産階級のうち半分以上は「上を目指す人」であり、将来的に需要の伸びが期待できる。
③ 公用語が英語
インドは英語が公用語でありビジネスの場では基本的に英語が使用され、法律も英語で制定されている。このため他のアジア各国に比べると言語的な障壁が低いといえる。
デメリット
① 商慣行が複雑である
インドのビジネス環境が決して良いとは言えない理由が商慣行の複雑さである。間接税の税制が非常に複雑であるほか、会社設立その他手続について多数の書類が必要で煩雑なこと、また現地企業では法の目をかいくぐった贈賄も横行しており契約をしても守られないことなどが挙げられる。2011年の世界銀行「Doing Business」レポートによると、ビジネス環境の容易さでインドは183か国中132位にランキングされている。
② インフラが不十分
自家発電機や補助バッテリーにより対応可能といえども、慢性的な電力不足により毎日のように停電が起きる。給水も1日に数回であり、水は飲用不可である。
③ 文化の違い
法律で禁止されているにもかかわらず、インドの社会には地方に行くほどカースト制度がいまだに存在する。家族や親類縁者関係を重んじるコミュニティを中心とした社会であり、祭りやお祝い事が重視されるため、時として企業側にも地域の風習を尊重する対応が必要となる。
インドへの外国直接投資に関する統計
インド政府の商工省(Ministry of Commerce & Industry)の産業政策推進局(Department of Industrial Policy & Promotion)の外国直接投資(FDI)統計データを以下に示す。

1.国別FDI投資額及びシェア割合
順位 投資額(百万USドル) 投資額(百万USドル) 投資額(百万USドル) 累積投資額(百万USドル) 総累積投資額に占める割合
    2009-2010年
4月~3月
2010-2011年
4月~3月
2011-2012年
4月~9月(半期)
2000年4月
~2011年9月
2000年4月
~2011年9月
1 モーリシャス 10,376 6,987 6,463 60,690 41%
2 シンガポール 2,379 1,705 3,211 15,106 10%
3 アメリカ 1,943 1,170 570 10,019 7%
4 イギリス 657 755 2,536 9,175 6%
5 日本 1,183 1,562 1,823 7,099 5%
  その他 9,296 7,248 7,248 46,885 31%
FDI総計 25,834 19,427 19,136 148,974  
※FACT SHEET ON FOREIGN DIRECT INVESTMENT(FDI)From APRIL 2000 to SEPTEMBER 2011より抜粋

2.産業別FDI投資額及び割合
順位 投資額(百万USドル) 投資額(百万USドル) 投資額(百万USドル) 累積投資額(百万USドル) 総累積投資額に占める割合
    2009-2010年
4月~3月
2010-2011年
4月~3月
2011-2012年
4月~9月(半期)
2000年4月
~2011年9月
2000年4月
~2011年9月
1 サービス 4,176 3,296 3,251 30,386 20%
2 通信 2,539 1,665 1,901 12,456 8%
3 コンピュータソフト・ハードウェア 872 780 433 10,842 7%
4 住宅・不動産 2,935 1,227 453 10,835 7%
5 建設 2,852 1,103 780 9,506 6%
6 電力 1,272 1,272 1,254 6,900 5%
7 自動車 1,236 1,299 531 6,365 4%
8 金属 420 1,098 1,399 5,653 4%
9 医薬品 213 209 3,086 4,983 3%
10 石油・天然ガス 266 556 144 3,281 2%
※FACT SHEET ON FOREIGN DIRECT INVESTMENT(FDI)From APRIL 2000 to SEPTEMBER 2011より抜粋

3.都市別FDI投資額及び割合
順位 投資額(百万USドル) 投資額(百万USドル) 投資額(百万USドル) 累積投資額(百万USドル) 総累積投資額に占める割合
    2009-2010年
4月~3月
2010-2011年
4月~3月
2011-2012年
4月~9月(半期)
2000年4月
~2011年9月
2000年4月
~2011年9月
1 ムンバイ 8,249 6,097 6,745 51,813 35%
2 ニューデリー 9,695 2,677 5,312 30,400 20%
3 バンガロール 1,029 1,332 889 9,117 6%
4 アーメダバード 807 724 747 7,903 5%
5 チェンナイ 774 1,352 800 7,650 5%
6 ハイデラバード 1,203 1,262 483 6,443 4%
7 コルカタ 115 95 320 1,808 1%
  その他 3,962 5,888 3,840 33,840 23%
FDI総計 25,834 19,427 19,136 148,974  
※FACT SHEET ON FOREIGN DIRECT INVESTMENT(FDI)From APRIL 2000 to SEPTEMBER 2011より抜粋
外国投資家に対する外国直接投資(FDI)が規制される産業
禁止されている事業:原子力エネルギー事業、複数のブランド製品を扱う小売業、宝くじ、カジノを含むギャンブル、不動産業、タバコ製造業など

制限されている事業:放送事業、銀行業、防衛事業、通信事業、保険業、単一ブランドの小売業、印刷メディア事業、航空事業など