インドにおける税制の概要
インドにおける税制の概要
直接税と間接税
インドの税制は納税者の居住状況や所得に課税される直接税と、物品・サービスに課税される間接税に分かれる。インドにおける税制が複雑と言われるのは、主として間接税にまつわる話が多い。間接税は種類が多い上、州により税制が異なり、かつ種類の異なる税金どうしで相殺・控除できるかの判断が必要である点が特徴的である。

また税制が頻繁に改正される上に遡及適用がある。直接税と間接税の税率は、毎年2月末に年間予算とともに年間財務法(the annual Finance Act)の中で規定されるため正確に最新情報をおさえておくことが重要である。
主要な直接税・間接税
直接税 間接税
  • ①個人所得税
  • ②法人税
  • ③配当税
  • ④最低代替税
  • ①物品税
  • ②中央販売税
  • ②中央販売税
  • ④サービス税
  • ⑤関税
他にも直接税には富裕税、間接税には研究開発税や物品入市税などがあるが、ここでは上に示す主要な税金についてのみ簡単に説明する。
直接税
  • ①個人所得税
    個人の所得に対する税金であり、居住者の区分(通常の居住者、非居住者、非通常の居住者)に応じて課税される。課税対象期間は4月1日~3月31日までで、納付は雇用者が毎月源泉徴収して翌月7日までに納付し、従業員の確定申告期限は7月31日まで。

    個人所得税は以下の計算式により算定する。
    個人所得税額=(総収入-非課税所得-必要経費-所得控除(※2))×税率(※1)

    (※1)個人所得税率
    課税所得 課税所得
    25万ルピーまで(※1) 免税
    25万ルピー超50万ルピーまで 10.3%
    50万ルピー超100万ルピーまで 20.6%
    100万ルピー超(※2) 30.9%
    (※1):60歳以上79歳までは30万ルピーまで免税。80歳以上は50万ルピーまで免税。
    (※2):所得が1千万ルピーを超える場合、所得税に対する課徴金(Surcharge)が15%かかる。
    (※3)所得控除
    投資(インフラプロジェクト債、生命保険や年金、5年の定期預金など)の所得控除が認められる。その他住宅ローンの利息控除や医療保険料控除等がある。
  • ②法人税
    法人の所得に対する税金であり、内国法人(子会社)・外国法人(支店・プロジェクト事務所)の区分に応じて課税される。なお駐在員事務所は売上の計上が認められず、法人税を納付することはない。
    法人の種類 基本法人税率① 課徴金② 教育目的税③ 実効税率①×②×③ 1千万ルピー以下部分①×③
    内国法人 30%(※2) 7%又は12% 3% 33.063%又は34.608% 30.9%
    外国法人 40% 2%又は5% 3% 42.024%又は43.26% 41.2%
    (※1)内国法人の場合、所得が1千万ルピー超、1億ルピー以下の場合に7%。1億ルピーを超える場合に12%。外国法人の場合、所得が1千万ルピー超、1億ルピー以下の場合に2%。1億ルピーを超える場合に5%。

    (※2)FY2014-15の売上合計金額が5千万ルピー以下の場合、29%。 課税対象期間は4月1日~3月31日までで、法人税申告書の提出及び納付期限は9月30日(但し6月・9月・12月・3月の各15日に中間申告、納付制度あり)である。

    繰越欠損金の繰越期限は8年。ただし申告書を期限内に提出できない場合には繰り越すことができず、また非公開会社は株主構成が49%を超えて変化した場合は繰越欠損金が失効するので注意が必要である。
  • ③配当税
    実効税率20.358%(基本税率17.647%×課徴金12%×教育目的税3%)。配当する会社が配当決定額に対して課税されるもので、日本と異なり受け取る側に源泉税等の課税はない。年間100万ルピーを超える配当を受け取る場合は、追加的に配当の10%が課税される。
  • ④最低代替税(MAT)
     「会計上の調整後当期利益×18.5%<通常の法人税額」の場合に課される税金である。税務上の減算項目が多く法人税額が少ない場合にも、一定の調整を加えた会計上の利益見合いで20%程度の税が課される。最低代替税は将来(10年間)の法人税から控除することができ、法人税の前払という性質がある。
    法人の種類 基本法人税率① 課徴金②(※1) 教育目的税③ 実効税率①×②×③ 1千万ルピー以下部分①×③
    内国法人 18.5% 7%又は12% 3% 20.389%又は21.341% 19.055%
    外国法人 18.5% 2%又は5% 3% 19.436%又は20.008% 19.055%
    (※1)内国法人の場合、所得が1千万ルピー超、1億ルピー以下の場合に7%。1億ルピーを超える場合に12%。外国法人の場合、所得が1千万ルピー超、1億ルピー以下の場合に2%。1億ルピーを超える場合に5%。
間接税
  • ①物品税
    インド国内で製造または生産された物品に対して課税される。基本税率は12.5%(教育目的税等含む)であり、製造業者が出庫した時点で課税される。製造業者は支払った物品税や追加関税、一部のサービス税との相殺が可能である。
  • ②中央販売税
    インド国内の州を越えて物品を販売した時に課税される。中央販売税法に従って必要書類を作成することを条件に2%の税が課される。必要書類の整備がないと10%と販売元の州VAT(後述)のうち高い方の税率が適用される。
  • ③州付加価値税(州VAT)
    州内の販売に対して、仕入税額控除を差し引いた付加価値部分につき課税される。州VATの税率は州ごと、物品の性質ごとに異なり、非課税~20%と幅がある。
  • ④サービス税
    Negative Listに記載のあるサービスを除く、サービスの提供に対して課税される。サービス税の税率は15%(本税14%+Swachh Bharat Cess 0.5%+Krishi Kalyan Cess 0.5%)。Swachh Bharat Cessはインド美化、Krishi Kalyan Cessは農業保護に関連する追加的な税金である。本税とKrishi Kalyan Cessのみ、支払ったサービス税と受け取ったサービス税の相殺控除が認められる。
  • ⑤関税
    物品の輸入およびインドからの物品の輸出について課税される。農産物を除くほとんどの物品についての実効税率は26.84%である。
新たな間接税GST(Goods&Service Tax)の導入について
GSTは物品税、中央販売税、州VAT、サービス税といった様々な間接税を一本化し、課税の重複を避ける目的で2017年4月から導入される予定である。